TR.32.12.3 風荷重の生成
このコマンドは、既に設定されている荷重の定義を使用して風荷重を生成するために使用されます。このコマンドは、荷重ケースの一部である必要があります。
組み込みの風荷重の生成機能は、「TR.31.3風荷重の定義」で定義されるパラメータに基づいて風荷重を計算する際に使用されます。次の一般的な書式が風荷重の生成に使用されます。風荷重の生成が可能な2つの構造タイプについては、「G.16.3 Wind Load Generator」を参照してください。クローズタイプの構造に対して、はりメンバー(および地面)のみによって囲まれて風に曝されるパネル領域は、荷重面積の定義に使用されます(プレートとソリッドは無視されます)。生成される荷重は、囲まれる領域の頂点のジョイントのみに作用します。オープンタイプの構造に対しても、モデルのメンバーのみを考慮して生成が行われます。
自動化された荷重ジェネレータの使用は、鉛直パネルに限ります。全体Y軸(Y UPの場合)に平行でないパネルは、個別に載荷される必要があります。
一般的な書式
LOAD i
WIND LOAD (-){ X | Y | Z } (f) TYPE j (OPEN) { { XR f1 f2 | YR f3 f4 ZR | f5 f6 }* | LIST memb-list | ALL }
指定項目:
Parameter | 説明 |
---|---|
LOAD i | 荷重ケース番号 |
(-){ X | Y | Z } | 全体座標系における風の方向。水平方向のみ使用してください。 |
f | 風荷重に乗算される係数。マイナス符号は、荷重の方向を逆方向に示すために使用されます(デフォルトは、1.0)。 X、-X、Z、または–Zと係数fの使用。軸に対して、マイナス符号は選択された構造のもう一方の面で吸引が生じることを示しています。すべてのメンバーが選択され、X(またはZ)が使用され、係数が正の場合、-x方向(-z方向)に面する暴露面は、正のx(またはz)方向(正方向に垂直な風)に載荷されます。次の図を参照してください。Xと負の係数が使用される場合、+x方向に面する暴露面は、負のx方向に載荷されます(負方向に垂直な風)。[-Xと負の係数が入力される場合、-x方向に面する暴露面は、負のx方向に載荷されます(吸引)。-Xと正の係数が入力される場合、+x方向に面する暴露面は、正のx方向に載荷されます(吸引)。] |
TYPE j | 既に定義されている系のタイプ番号 |
OPEN | 荷重が"オープン"タイプの構造に対して生成される場合に使用される語。これが設定されない場合、パネルが"クローズ"であると仮定して荷重が生成されます。 |
XR f1 f2 | メンバー選択に対して、X、またはY、またはZの範囲を設定する全体座標の値 |
メンバーリスト、または(全体系での)座標値の範囲が使用可能です。両端の座標が領域内にあるすべてのメンバーは、定義する面が風に曝される場合、載荷面を定義する候補(クローズタイプの構造に対して)に仮定されます。荷重は、ジョイント荷重(メンバー荷重ではない)の形をとります。1、2、または3の領域は、結合領域の選択されたメンバーに対して、"レイヤ"、"チューブ"、または"ボックス"を形成するために入力可能です。大きなモデルの計算速度の向上のために、領域を使用してください。複数の重なり合う範囲(同じ荷重ケース内の一連のWIND LOADエントリ)を使用して、自動パネル識別をさらに制御することができます。
例
DEFINE WIND LOAD TYPE 1 INTENSITY 0.1 0.12 HEIGHT 100 200 EXP 0.6 JOI 1 TO 25 BY 7 29 TO 37 BY 4 22 23 TYPE 2 INT 0.1 0.12 HEIGHT 100 900 EXP 0.3 YR 0 500 LOAD 1 SELF Y -1.0 LOAD 2 WIND LOAD Z 1.2 TYPE 2 ZR 10 11 LOAD 3 WIND LOAD X TYPE 1 XR 7 8 ZR 14 16 LOAD 4 SUCTION ON LEEWARD SIDE WIND LOAD -X 1.2 LIST 21 22 42
注記
-
クローズタイプの構造に対しては、パネル、またはクローズ面は、設定された領域内のメンバーとその端部ジョイントに基づいてプログラムにより生成されます。各クローズ面内の面積が決定され、リストの各ノードの支配面積が計算されます。個々に囲まれた領域は、近接判定子に対して平面的なサーフェスである必要があり、そうでない場合は、載荷されません。
したがって、風に対して曝されるメンバー/ジョイントがクローズ面を形成することを確かめる必要があります(地面は、クローズ面の辺を形成可能です)。適切なクローズサーフェスがない場合、その領域用に計算される面積が決定できず、ジョイント力の値はエラーとなる可能性があります。したがって、曝されるジョイントの数は、少なくとも3つである必要があります。
- プレートとソリッドは、風荷重の生成用には考慮されません。そのようなエンティティでは、風は、プレートとソリッドに対する圧力載荷機能を使用して作用されます。
- プログラムでは、構造の形状に基づいて風荷重生成用のパネルを識別します。ただし、一部のオープンエンドのパネル(つまり、メンバーではなく下部の"地面"を境界とするパネル)については、パネル識別ルーチンで特定できない場合があります。この場合、複数の重なり合う範囲またはメンバーリストを使用して、パネルの識別をさらに絞り込むことができます。
オープンエンドパネルの識別の制御
次の構造は、大きなドア開口部のある壁です。風は壁全体に適用されるように意図されています。風荷重の識別に1つの範囲を使用した場合(ケースA)、中央のパネルが正しく識別されません。
DEFINE WIND LOAD TYPE 1 WIND 1 INT 0.1 HEIG 12 EXP 1 JOINT 1 TO 3 10 12 LOAD 1 LOADTYPE Wind TITLE Wind Using Single Range WIND LOAD X -1 TYPE 1 YR 0 4 ZR 0 12
全体座標のZ方向において重なり合う3つの一連の範囲を使用した場合(ケースB)、プログラムで各ベイを個別に評価するように強制することができます。
DEFINE WIND LOAD … LOAD 2 LOADTYPE Wind TITLE Wind Using Overlapping Ranges WIND LOAD X -1 TYPE 1 YR 0 4 ZR -0.1 4.1 WIND LOAD X -1 TYPE 1 YR 0 4 ZR 3.9 8.1 WIND LOAD X -1 TYPE 1 YR 0 4 ZR 7.9 12.1
同様に、一連の3つの風荷重のそれぞれを各ベイを表すメンバーリスト(またはそれらのメンバーの事前定義グループ)とともに荷重ケースに追加することもできます。
DEFINE WIND LOAD … LOAD 3 LOADTYPE Wind TITLE Wind Using Member Lists WIND LOAD X -1 TYPE 1 LIST 1 TO 4 9 10 WIND LOAD X -1 TYPE 1 LIST 3 TO 6 11 WIND LOAD X -1 TYPE 1 LIST 5 TO 8 12 13
SP 20.13330.2016の風荷重の一般的な書式
STAAD.Proは、SP 20.13330.2016コードに従って静的と動的の両方の風荷重を生成できます。
SP 20.13330.2016の静的風荷重の書式:
LOAD i
WIND LOAD { X | Z | -X | -Z } f1 CONFIGURATION k ( NU fNU )
TYPE j { XRANGE f1 f2 | YRANGE f1 f2 | ZRANGE f1 f2 | LIST member-list | ALL }
SP 20.13330.2016の動的風荷重の書式:
LOAD i
(mass-data)
WIND LOAD { X | Z} f1 WALONG f2 WACROSS f3 ( GL f4 ) ( FRQ ) ( ORT ) TYPE j ( DYN k )
指定項目:
Parameter | 説明 |
---|---|
mass-data | 動的風荷重内で定義された質量荷重(モーダル分析用の個別の荷重ケースがSTAAD入力ファイルで事前に定義されていない場合)。 |
f1 | 指定した方向の補正係数。これをWIND LOADの設定と組み合わせて使用する必要があります。 |
CONFIGURATION k | 使用する環境設定(0~12) |
NU fNU | 風圧係数。 |
WALONG f2 | 風の方向に平行な構造物の有効な長さ。 |
WACROSS f3 | 風の方行に面した構造物の有効な投影。 |
GL f4 | 地表面の垂直座標。現在の入力単位で定義される正の値(ゼロ以上)である必要があります。指定しなかった場合は、Y座標の最小値から地表面が自動的に計算されます。 |
FRQ | コードで規定された振動数制限内である場合にモーダル分析から抽出されたすべてのモード形状の動的風荷重ベクトルを計算するオプションのパラメータ。このパラメータが設定されていない場合は、最初のモード形状のみが計算されます。 |
ORT | 荷重ケースに直交方向を含めるオプションのパラメータ。 |
TYPE j | 風定義のタイプ番号。この定義のタイプはSP20 2016である必要があります。この風定義は、2016年版のロシアのコードで規定された静的風負荷と動的風負荷の両方で使用されます。 |
DYN k | 風荷重にモード応答から得られる動的成分と主荷重ケースkで定義された静的風荷重を含めることを示すオプションのパラメータ。このオプションを省略した場合は、荷重定義の静的荷重のみが計算されます。 |
ロシアのSNiP 1985の風荷重の一般的な書式
ロシアの古いエディションのコードに従って風荷重を適用する場合の書式は次のとおりです。
LOAD i
WIND LOAD { X | Z | -X | -Z} f1 CONFIGURATION k ( NU fNU )
TYPE j { XRANGE f1 f2 | YRANGE f1 f2 | ZRANGE f1 f2 | LIST member-list | ALL }
XまたはZの値で風の方向を定義します。マイナス符号を使用すると、風下側の風荷重が定義されます。
指定項目:
Parameter | 説明 |
---|---|
f | 風圧係数。負の値は、反対方向の風荷重を定義します。 |
k | SNiP 1985の風荷重定義で定義されている角形建物の構成パラメータ。有効な値の範囲は-1~12で、各値の意味は次のとおりです。
|
fNU | 風圧相関係数。パラメータが1の場合、計算値が使用されます。長方形の建物の場合、常に計算値が使用されます(入力は無視されます)。 |
ロシアのSP 20.13330.2016で規定された動的風荷重
STAAD.Proで動的風荷重の生成を実行するには、事前に静的荷重ケースを定義しておく必要があります。静的荷重ケースは、同じコードに従う静的風荷重など、ロシアの動的荷重ケースの前に定義されている任意の静的な主荷重ケースにすることができます。この静的荷重ケースから動的風荷重モジュールに静的荷重ベクトルが提供されます。
ロシアの動的風荷重成分では、ノードの動的風荷重成分を計算するためにモーダル質量と固有ベクトルが必要となるため、動的風荷重定義の前にモーダル分析を実行する必要があります。そのため、荷重ケースより前に定義された参照質量を使用してモーダル分析用の荷重ケースも別途含める必要があります。詳細については、「G.17.3.2 Mass Modeling」を参照してください。また、他の荷重ケースでは質量荷重を使用する必要がない場合(つまり他の荷重には参照荷重ケースが不要な場合)は、WIND LOADコマンドの前に動的荷重ケース内で質量荷重を定義することもできます。
風荷重の全体的な効果は、静的荷重の効果と静的荷重効果を大きくするために使用される動的風効果のすべての寄与モードのSRSSの和で決まります。
w = wm + wp |
= | ||
= |
STAAD.Proでは、静的風荷重とモーダル結果を使用して、モーダル荷重を計算するための動的組み合わせ荷重を作成します。モーダル荷重が分析され、静的風成分の効果を高めるために使用されるすべての動的効果をSRSS組み合わせで組み合わせることによって全体的な動的効果が特定されます。